- 2021.12.24
週刊nachi活
那智勝浦生まれの20代女性起業家が、 ドングリを持って会いにきた!(vol.1)
2021年の12月中旬、脇口水産の宇久井工場に、まだ20代の若き女性起業家が訪れていた。
彼女は(株)ソマノベースの代表取締役、奥川季花さん。“土砂災害での人的被害をゼロにする”というビジョンを掲げ、林業という分野で奮闘している。
那智勝浦で生まれ育った彼女は小さい頃、『にぎわい市場』の近くで放課後によく遊んでいたそうだ。
そんな彼女が起業するきっかけとなった出来事が、2011年に起こった紀伊半島の大水害である。
「私自身も被災しましたが、友人をこの水害で亡くしたのです。それがきっかけで、何度も台風や土砂災害が起こるこの地域で、大切な人を失わないためにはどうすればいいのかと深く考え始めました。やがていろんな人の話を聞く中で、土砂災害のない未来を作るためには、私自身が行動する必要があると思ったのです。」
同志社大学で、社会的に良いとされる行動をマーケティングで促す学問である“ソーシャルマーケティング”を学んだ奥川さん。卒業後すぐに起業したい気持ちもあったが、ソーシャルビジネスを学ぼうと福岡にあるボーダレスジャパンという会社に入社した。
「防災と林業に取り組む会社を自分で作りたかったのですが、学生の私にその力はなかったので、ソーシャルビジネスを専門にしている会社に事業プランを持ち込み、採用してもらいました」
林業にはまだ進出していない会社だったので、海外の女性の貧困問題を解決する新規事業立ち上げを、まず初めに担当した。
「一通りの仕事を経験した後、林業を自ら経験しようと思い、防災や避難訓練、ダムなどを作る会社で働きつつ、林業の会社でも働き、個人事業も立ち上げるという、3つ掛け持ちの状態で2年間を過ごしました。そして2021年4月、和歌山に戻ってきて、会社を立ち上げました」
筆者も経営者だが、起業したのは40代。10代の原体験をベースに、地域が抱える課題を解決しようと一直線に突き進んだ彼女の想いの強さや、仕事を3つ掛け持ちしたというバイタリティには驚きを隠せない。
「今はほとんど同世代と活動しています。20代や30代前半のメンバーで活動しつつ、専門的なことやビジネス的なことは社外のいろんな人にサポートしてもらっています。一次産業全体に言えることですが、林業界で働く20代ってほとんどいないんです。現場で作業員として働く人はいても、自分で事業をやろうとか、林業と防災を紐付ける人はほとんどいない。だからこの分野では、私たちの世代で引っ張っていこうと思っています」
そんなソマノベースが現在力を入れている主力商品が、このドングリが入っている木鉢。
このドングリの木鉢にはどんな想いが詰まっているのだろうか?
<続く>
(取材、文章 副編集長 横谷真一)
【vol.2はコチラ↓】
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