• パックのマグロ
  • 2021.12.23
  • 和歌山ぶらり旅

  • #01 世界遺産を、観に行こう。那智の滝へ

  • 前回「にぎわい市場」へと辿り着いた私は、
    マグロが並ぶコーナーの前に立っていた。

    普段、スーパーで目にする魚と比べて、
    なにやら赤身がハッキリとしているような気がする。

    この漁港で獲れたマグロが、この町で解体され、
    店頭に並んでいるようだ。

詳しいことは分からないが、
絶対美味しい予感がする。

ここまできて、
これを食べずに帰るなんてことはできない。

試しにこの日一番リーズナブルだった
「メバチ鮪のサク赤身」を購入することにした。

刺身にしてもらうこともできるらしく、
その場でサクを切ってくれた。

この日マグロを切ってくれたのは、さやまるさん。
店舗運営をしている株式会社ヤマサ𦚰口水産でマグロの仕事をしながら、インスタグラムでこの町の情報も発信している若手なのだそうだ。

醤油にお箸もつけてくれて、いつでも食べられる状態になった。
なんてありがたいことだろう。

お弁当を手に入れた私は那智勝浦町駅まで戻り、
すぐ近くから出発しているバスに乗り込んだ。

バス乗り場のちかくの売店で販売していた、「乗り降りし放題」の切符によれば、このバスに乗ると、世界遺産の「那智の滝」へと行けるという。

バスはおよそ30分に1本✳︎ほど。山へ行ったバスが町に戻って来て、また山へと行って、と繰り返し運行しているようだ。

(✳︎2021年12月現在の情報です。最新の情報については、公式ウェブサイト等でご確認ください。)

バスで移動すること10分ほど。

“世界遺産”は、バスに乗ってからは意外にあっけなく、
簡単に目の前まで来ることができた。

バスを降りると、生い茂る木々の中に
さっそく鳥居が見えている。

あれがもしかして、
那智の滝へと続く道なのだろうか。

ここをくぐり抜けると、
途端に厳かな空気に切り替わる。

ほんの少し前までは、外国人観光客を中心に
人々でごった返していたそうだ。
今はここ何十年かの間でも、一番空いている時期なのかもしれない。

下り道の石段を、いくつか降りていく。

“熊野古道”のイメージか、もっともっと険しい道を
勝手に想像していたが
スニーカーでも歩きやすく、整備された道だ。

奥へ進むにあたり、参入料金として300円(小中学生200円)を納めると、
お守りを頂いた。

滝の流れる音が、さらに大きくなってくる。

階段を登ってすぐのところに、神盃(さかづき)を見つけた。
飲めば長生きできるという、延命長寿のご利益がある
“お瀧水”を飲める場所のようだ。

のども乾いてきたころでもあり、
ここまで来たら、ぜひ飲みたい。

冷たくて、澄んだ味がして、
ざらりとした皿の感触が残った。

初穂料を100円納めると、
こちらのお皿は持ち帰ることができるらしい。

これもまたご縁。
お土産に持ち帰り、今後も使っていくことにした。

さて、内側から清められたところで、
さらに奥へと進んでいく。

那智の滝を祀るのは「飛瀧神社(ひろうじんじゃ)」と書いてある。

御神体は、この滝そのもの、なのだという。

別名「一の瀧」と呼ばれ、
上流にもさらに二の瀧、三の瀧と続いていて
総称して「那智の大瀧」というのだそうだ。

豊かな山々から流れ出る、豊かな水。

かつて、まだ人類の文明が発達していなかったころ
自然そのものを神としていた時代があったという。

「自然信仰」とは、
このような圧倒的な自然を「神」と崇めてきたのだろう。

そして現代を生きる私も、圧倒的な自然を前にすると
神様の存在を想ってしまう。

二礼二拍手、一礼でのお参りをしてから
「水みくじ」を引いてみた。

水につけると浮かんでくる仕様のようだ。

内容は…

心のうちに留めておくことにした。

さて、参拝を終えて入り口前、バス停のあたりまで戻ると
黒飴ソフトクリームののぼりが目についた。

ちょうど、壮大な自然に触れて、頭がいっぱいになったところだ。
甘いものを食べてリフレッシュするのもいいかもしれない・・・

と気づけば、300円を支払い
「滝つせ」さんの黒飴ソフトクリームを食べ始めていた。

あまい蜜の味がギュッと詰まって、
元気が湧いてくる。

那智勝浦の名産「那智黒」という、
碁石にも使われる黒い石を模したアイスクリームのようだ。

ナチグロといえば、私が小さい頃に観ていたアニメ
「キン肉マン」に、ナチグロンという真っ黒な怪獣がいたが
まさか、彼は・・・

甘いものも食べて元気が増してきた私は、

那智の滝の本殿とも言える、「熊野那智大社」へ参拝する道へと
足を向けるのだった。

(続きます!)

(編集部 安村晋)

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